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五月雨日記<仮の宿>

イラスト+漫画やアニメの感想等。 最近はプリキュアと東方多めです。

chapterⅤ-Ⅱ reality -現実-




そして、椿は蓮との待ち合わせ場所へと向かう――
そこには既に蓮の姿があった。
「蓮さんっ……お待ちしましたか……?」
「いや今来た所だ……じゃあ行くか」
「あっはいっ……でも――その前に……色々気になる事があるんですが
 このゲームの事で――いくつか教えて頂いてもよろしいですか……?」
椿は遠慮がちに、蓮を見る――

「ああ? なんだよ?」
「えっと……私の力、他の方達と比べて、かなり不安定な気がするの
 ですが……何か理由があるのでしょうか……??」
まずは一つ――自分の強さについて、蓮に問う――

「……てめぇの強さはおそらく――“創造者”の気分で変わってる……
 アイツのその場のノリで、お前の強さは変動する」
「えええええぇぇっ!? ノっ……ノリってそんな……」
創造者のノリの一言で返された椿は――ショックを隠せない……。

「だったら……せっかく修行しても意味なかったって事かな……」
「……普段のプレイの時はおそらく普通のプレーヤーと同じ扱いだろうが。
 多分、俺とのクエストの時は、お前は一時的に強くなってるはずだ……
 そもそも初めて会った時も、異常だと思ってた……あんな最強クラスの
 回復魔法、初RPG化で使える訳がねぇ……俺の行動を支配する為に――
 アイツはあんな真似……くそっ……思い出しただけでムカついてきた……」
「すっ……すみませんっ……」
蓮の刺々しい台詞には、椿も思わず謝ってしまう――
「……他は?」
蓮は不機嫌そうに尋ねる――

「どうして、このゲーム……1日1時間しか遊べないのですか?」
「……はぁ?」
蓮は呆れた様子で椿を見る――
「あっ……その……普通のゲームって……好きな時に好きなだけっ……」
「……そんな当たり前の事を今更か」
「へっ……??」
蓮の言葉に――思わず椿は、間の抜けた声を上げる――

「……今てめぇの“現実世界の体”は、どうなってる?」
「それは、もちろん――RPG化して……」
「……その時、現実での体は――現実世界ではどうなってる?」
「……存在、しない……?」
自信のなさそうな椿の言葉――それを聞いた蓮は、椿を睨む……

「……その状況が、何時間も続いて――時の流れを忘れて……
 何時間どころか、何日もゲームの世界に入り浸ったらどうなる!?
 行方不明で神隠しとか言われて……社会問題になるじゃねぇか!
 そんな事になったら、浦島野郎が大増殖するじゃねぇかっ!」
「……“浦島”――もしかして“浦島太郎”のお話、ですか??」

「そうだ……あの野郎は……女の色香に惑わされて……家族を捨てて
 ……現実の生活を捨てた……引き籠りのニートの大馬鹿野郎だ!!」
会話の中――蓮は昔話の主人公の1人――
“浦島太郎”に罵言を吐いたのだった……。

「えっと……でも――浦島さんも悪気があったわけでは――」
「……悪気がなかったら許されるとでも思ってるのか!!?」
「……そっ……それは……」
その勢いの凄まじさに、椿もたじろいでしまう――
だが、蓮は――そんな椿の態度を気にも留めないで、こう続ける……

「“時間”は人間には、操れねぇ……戻せねぇ……!
 ……現実に戻った浦島野郎は……玉手箱でじじぃになって――
 虚しさが残った……創造者はプレーヤーをそんな風にしたくねぇからこそ
 RPG化は1時間で解けるようにした――ここはあくまでゲームであって
 現実じゃあねぇ……プレーヤーが還るべき場所も、戦うべき場所も、
 現実だからってな……今の世の中のゲームだって“肉体”は現実世界に
 存在してても“心”がいつまでも“ゲームの世界”に囚われて――
 還れねぇ奴もいやがるし……厄介な話だ」
「……そうですね――問題になってますよね……」

現実との戦いから逃げ、ゲームや虚構の世界ばかりに身を捧げる――
そんな者達が溢れ返っている世界。好きな事を行っている時、人は――
時間を忘れてしまっている。楽しい事が無制限にできたとしたら、
熱中してしまうのは仕方のない事――だが、それが度を過ぎると……
どうなるだろうか? そして現実世界と、虚構世界との違いを――
“認識”できなくなったら、どうなるだろうか……?

「ゲームの世界に、人間は生きていけねぇ……! 依存したら――
 取り返しのつかねぇ事にもなる……創造者はそれを考えて
 このゲームを……この魔法を……1時間で解けるように設定した……」
「……そう、だったのですか――」
……さすがにここまで言って、こういう言い方したら
 ドン引きするだろうなコイツ……これで俺の狙い通り――

「ありがとうございます、蓮さん!おかげで――よくわかりましたっ!」
蓮はキツい口調ながらも――椿を納得させた……
その事に感謝した椿は……一礼し、蓮に尊敬の眼差しを向ける。
「……って!?何故そこで礼を言う!?頭おかしーんじゃねぇの!?」
……椿の予想外の反応に蓮は思わず、声を上げる。

「え?私……おかしいですか!? でも蓮さん、私の疑問に丁寧に
 お答えくださって、浦島さんの例えもわかりやすかったですし……
 それに、なんだか――説明してる時の蓮さん、本当に……
 この世界の――“創造者”さんみたいで……
 このゲームの事、ご理解されてて――すごいと思います!」
それは……お世辞ではなく、自然にこぼれた言葉――

「……っ……!」
蓮は頬を赤らめ――それを隠すように、右手で口元を覆う。
「え? あの……蓮さん……?」
「……今……俺のツラ見たら……ぶっ殺す……」
「えっ? あっ……しっ……失礼しました……!」
そう言って椿は慌てて後ろを向く――
「どうしたんだろ……蓮さんっ……もしかして――照れてる……?」
椿は――なんとなく蓮のオーラが緩んだように感じていた。

「……それと、死ぬのが嫌ならセーブ使え――
 無論、俺とクエスト行く時は事前に行うようにしろ」
蓮は即座に、いつもの調子に戻る。
「はいっ……ところで蓮さんは――」
椿は自分のセーブを終え、蓮の方を伺う――
「俺は絶対ぇ使わねぇ……てっとり早く強くなる為にはな」
「……えっと……上手く言えませんが……その……
 ご無理はなさらないようにして下さい……」
セーブを使っていなければ、死んでしまった時に経験値がゼロになる――
椿は初めて出会った日も、再会した日も
重傷を負っていた蓮の姿を思い出し心配そうに蓮を見る――

「お前に何がわかるっ!?」
「え……?」
蓮はいきなり、大声で怒鳴ったのだった――
「何も知らねぇくせに……いいかげんな事言うんじゃねぇ……!」
「すっ……すみません……」
そんな蓮に――椿は怯えてしまう。
「……きっと触れちゃダメな部分なんだろうけど……でも……
 どうして蓮さんは――そこまで強くなろうとしているんだろう……
 どうして戦ってるんだろう……強くなれたら、何かあるのかな……
 昂さんは――色々知ってるみたいだけど……」
……それは、椿は声には出さず――心の中で思うだけにした。

「今日のクエストエリアは“戦争の森”だ!……お前から先に行けっ……」
「はい……」
そうして2人はようやくクエストに出発――と、思いきや――
「……あれ……? 転送できない……??」
転送――別のエリアに向かう為のワープ魔法……
これは、行きたいエリア名を心に浮かべるだけで
その場所に移動できる魔法――普段の椿もよく使う移動魔法である。
だが何故か、今の椿には無理だった――

「なっ……!? 本当にっ!?」
「本当ですっ……何度やっても……」
「まさか……また……あの野郎っ……こんな些細な事でも俺にっ……
 “あの方法”を使わせる為に……!?」
「何か……心当たりでも――?」
「創造者の考える事だ……!! 仕方ねぇ……行くぞっ!!」
「きゃっ……!?」
そして、蓮は乱暴に――椿の手首を引いたのだった――

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「さぁ、どうかな――」
その様子を昂は自室からスクリーンで見ていた。
「……えっと……蓮さん……?」
蓮に手首を引かれた椿は、以前桃と一緒にエリア移動できたように
無事にエリア移動できた――蓮の体に触れる事自体、
初めに会って以来の事もあり――椿は戸惑ってしまう……

「……勘違いすんな、この方法でしか移動できなかったからだ」
そう言って蓮は、即座に椿の手を放す。
「ありがとう、ございます……」
とにかく、椿は礼を言う――けれど、
淋しい気持ちがした。蓮はこの行為を明らかに嫌がっていたから――
「……怒らせたから、当たり前だよね……」
椿は心の中で、そう呟いた。

「それにしても、このエリアは――?」 
椿達が着いた場所は薄暗い森――
そこは椿にとっては、初めてクエストに出かけるエリアだった。
「……ここは初めてか?」
「はいっ……でも――『戦争の森』という事は……っきゃあっっ!?」
椿のすぐ横に、銃弾が霞める――
「っ……なっ……!? ぶっ……物騒なっ……!!」
「そりゃあな、一応上級者エリアだし……でもアイツの事だ、
 今てめぇのレベルは一時的に上がっているはずだ。
 だからなんとかなる――ただ油断したら確実に死ぬぜ……ここの
 モンスターは特に容赦ねぇし……勝手に死んでも責任取らねぇからな」
「……っ……はいっ……」 
さすがに、椿は心配になってきた……
一時的にレベルが上がっているとはいえ、初めて挑む、上級者エリア……。
だが今の椿には、心配する余裕もない――双方向から、銃弾が降り注ぐ――

「ちょっ……こんなのっ……防戦一方じゃないですか!」
椿はなんとかバリアで凌ぐ……一方蓮は……
「……あっちの奴から――殺ってやるっ……!!」
銃弾の発信元へと向かってゆく――慣れた手付きで向かって来る
銃弾を避け、手持ちの剣で弾き返し、銃を乱射するモンスターの元へ――
そして、一匹目を見事仕留め、続いて二匹目の元へ――
後一歩、その時――
「くっ……!」
銃弾の一つが蓮の右足に命中した。
「蓮さんっ!?」
「このクソ野郎っ……これで終わりだっ!」
蓮は痛みに堪えながら、剣を振り、モンスターを切り裂く――
そして、そのモンスターは無惨に散っていった……。

「傷っ……今すぐっ……!」
椿は蓮の元へ駆け付ける――
「……手ぇ出すんじゃねぇっ! これ位の怪我っ……いつもの事だっ……
 急所に当たらなけりゃなんとでもなる……殺す為には仕方ねぇ話だ……
 よく覚えておけ」 
そう言って蓮は手持ちの回復アイテムで足の傷を消す――
まるで椿がその場にいないように、ただ何時ものように
一人でクエストに行っているような、そんな雰囲気で――

「……やっぱり、相変わらずだなぁ、蓮……でも、おっ楽しみは~
 こ・れ・か・ら☆ そろそろまたあの子達が――」
昂がそう呟いた瞬間……
「見つけたぁっ!!」
――耳に覚えのある、きゃぴきゃぴのアニメ声が聞こえた……
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コメント

こんばんは

たしかに、長い間いなくなったら確実に・・・とは言い切れないですが
大多数は捜索願を出すでしょうね

私だったら現実か創作どちらをとるかと聞かれたら
創作の方をとってしまうでしょうね。絵の事だけを考えられたら
っと思うとやはりそう思ってしまいますね

あ~この顔は見られたくないでしょうね(笑)
普段の感じと落差がありますし、照れた顔は恥ずかしいですよね

  • 2017/12/02(土) 21:39:15 |
  • URL |
  • 荒ぶるプリン #-
  • [ 編集 ]

きゃー

蓮様~か~わいー。
なんて言ってるのばれたら
怒られちゃいますね。
こちらではセリフで
あちらでイラストで
珍しい蓮様のデレが見られて
とってもうれしいのです。
さすがの蓮様も天然純粋娘の
椿ちゃんにはつい
デレちゃうんですね。
良いモノ見ちゃいました。
でも、その後ちょっと辛く当たられたり
せっかく手が繋げたのにぃ。
もー蓮様いぢわるですぅ。
えーと昂様はナイスサポート?
かなり危険なクエストみたいで
どきどきはらはらしながら読んでます。
がんばれ椿ちゃん。
あとネトゲ廃人対策なるほどです。

  • 2017/12/03(日) 21:04:09 |
  • URL |
  • TYPE MM04 #LkZag.iM
  • [ 編集 ]

こんばんはー!!部屋散らかったままです!!(←我慢出来ず先に読んだ人)。

バトキャラが1時間しかプレイ出来ない理由が、実はとても良心的!。
確かに無制限でトリップ出来るなら、現実には戻って来ないですね。えぇ私なら休日1日中遣ってます(笑)。
浦島太郎の例えが凄いって云うか、連さんが如何にリアリストであるか?と云う事が良く判る例えと云うか
蓮さんは、ゲームをクリアして願いを叶えて欲しい的な事を思っていても
ちゃんと現実で生きているだなぁ~と。
って云うか!!連さんのイラテレーッ!!!!。
蓮さんも椿ちゃんの純粋さには勝てない御様子…
ナイスジョブッ!!良いぞ!!椿ちゃんもっとやれーッ!!(笑)。
蓮さんは、普段は壮大に(?)ツンツンして、でもちょっと翻弄される感じでデレてくれたら良いなぁ~と思います・うふふ~vv。
2人には申し訳ないけど、危険な冒険に成って欲しい(おいおい)。そしたら少し2人の距離が縮まるのかなぁ…と。
続き楽しみにしております!!。
アニメ声も気に成るし✩。

  • 2017/12/04(月) 21:16:40 |
  • URL |
  • 森崎 #-
  • [ 編集 ]

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