五月雨日記<仮の宿>

イラスト+漫画やアニメの感想等。 最近はプリキュアと東方多めです。

chapterⅣ-Ⅳ mind ―本心―




「……もしかして、結構移動しながら戦った?」
「……はい、蓮さんが注意をそらす為に――
 それにあの時は……どう移動したか記憶も曖昧で……すみません」

レイナと碧は――竜を探そうとしたが……強化データに体の自由を奪われ
暴走した碧から竜達を遠ざける為、蓮はかなり移動して戦っていた。
それ故に――竜の姿は近くには見当たらず、一方的に暴走に
巻き込まれた碧は大切な友人を傷付けたショック、混乱もあって、
どの辺りで竜がダメージを受けたか、記憶も曖昧だった。

「時間が切れるまでに早く見付けるわよ……碧、私の背中に乗って」
そう言った瞬間――レイナは先程碧が強化データに乗っ取られた状態から
元に戻した時に見せた、もう一つの姿……天使のRPGキャラの姿に変わる。
「……え? お背中……?? ……えぇっ!?」

レイナからの思いがけない提案に、碧は戸惑った……
「上から探した方が早いし。私会った事ない人だから碧も上から一緒に――
 嫌だと思うけど、落ちない為には1番安全なのよ」
「たっ確かに……安全かもしれないですがっ……僕を背負わせるのはっ……!!
 僕重いですしっ!さすがに申し訳ないですよ!」
「そんなの大丈夫よ。ゲームだし多分なんとかなるわ
 ――お姫様抱っこの方が良かった?」
「ちょっと、それも……さすがに……!!」
なんとか碧を持ち上げて空から探す事を推すレイナに――
碧は遠慮と羞恥心を隠せなかった。

「だったら、乗って」
「いえ、それは……!」
「……恥ずかしいの、嫌なの?」
「……はい……」

おんぶをされる事……それはまるで背後から抱き締めてしまうような事だから……
ゲームだとはいえ、碧にとっては恥ずかしく、申し訳ない行為だった。そして
それをもしも誰かに見られてしまったら――ゲームの体とはいえ、恥ずかしかった。

「……無神経に恥ずかしい事、提案してごめんなさい」
「……えっ!?あの、その謝らないで下さいっ!!」
「……見られて困るなら、姿消す結界貼って、周りから見えないようにもできるわ」
「貴重な魔力を使って頂いて……そっそこまでしなくても……!」
「……そもそも私が碧の体に触れたり、
 碧に私の体に触れさせる事自体……嫌……よね……」
表情はほとんど変わっていないはずなのに、碧には――残念そうに聞こえた。
だから碧は――意を決する。

「……いえっ!そういう訳では……!僕の事、そんな気遣わないで下さい!!
 ……すみませんっ……ではお願いします!!」
「やっぱりこういう言い方が有効なのね」
「えっ……?」
「なんでもないわ……緊急事態だから、気にしないで……しっかり掴まって」
「はいっ…」

そして碧をおぶったレイナは――空を舞う。

「わぁっ…!すごいっ……あの…でも僕、重くないですか…?」
「軽いわよ……そういえば、空飛んだ事はある?」
「あっ…はい! 竜君の絨毯に乗せて頂いた事があります」
「そう……なら珍しいものじゃないのね」
「あっでもその時はさすがにこんなに密着してませんでした……」
「……変に意識して離れたら落ちるからね」
照れる碧に――レイナは落ち着いた反応だった。

「はっ…はいっ!!気を付けます!そういえば、そのお姿は――」
天使としてのレイナの姿は――
碧にとって、今日初めて見るレイナのもう一つの姿だった。

「碧が助けてくれた時に手に入れた、2代目」
「あっ……あの時の……というか、僕の事覚えて――そういえば、名前も……」

碧はふと疑問に思う……。レイナと話す事ができたのは、
レイナを助けたあの時だけ……名乗らずに去ってしまった事を思い返す。

「あの時の事――忘れるはず、ないわ。それに貴方はプレーヤーの中でも
 有名だから。私みたいな人間にまで近付いて、助けるなんて……
 本当に変わってるわよね」
「よく言われます……」


「……ありがとう」


「……え?」
「やっと言う事ができた……貴方、神出鬼没だからいつどこで会えるか
 分からなくて、ようやく会えると思ったら、こんな事になるなんてね」
「……すみません……」
「碧のせいじゃない……それにあの子は――
 よく分からない事になったけど、
 貴方にもう一度、会えてよかった……これからお礼くらい、させて」
「ありがとうございます……僕もまたお会いできて嬉しいです……
 でもお礼とか――気にしないで下さいね!……あっ……竜君!?」
そして碧は上空から竜の姿を見付けた――

「……ギリギリ、間に合って良かったわ……」

そう言ったレイナの体は――薄れていた。
それは変身してから1時間が経過してしまった証拠。
もうすぐ魔法は解けるのだ……

「え……?もしかして、もうお時間……」
「残念ながら、碧達より早く変身してしまっていたようね」

レイナは落ち着いた口調で――碧を下ろす。

「あの……またお会いする事は――」
「……上手くいくか分からないけど――碧、携帯電話は持ってる?」
「はいっ……!ガラケーですけど……」
「そう……だったら――」
レイナは素早く――手を前に出して、手の平を上にして、六角形のプレートを出し、
集中し念じる――……。あるデータを作成し、圧縮されたデータを碧に渡す。

「このデータ、碧にあげるわ……解凍したい、って思ってみて」
「えっ……!? はいっ……ay………………jp……これってもしかして――?」
「メールアドレス。落ち着いたらメール送って。同時に変身できる時じゃないと、
 あの子は発動できないから――これで予定の調整、させてもらってもいい?」
「はいっ……かしこまりました!!」

「……じゃあね、碧」
「はいっ……!ありがとうございます、レイナさん!!」

碧は消えゆくレイナの姿を――笑顔で見送った。
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