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五月雨日記<仮の宿>

イラスト+漫画やアニメの感想等。 最近はプリキュアと東方多めです。

chapterⅢ-Ⅱ out of control ―暴走―




そして、放課後――BATTLE CHARACTERSの世界で碧はいつもの
ようにフィールドを回って、出会う人々に体力をあげていた。喜んでくれる
人達の存在が、ただ嬉しかった……回復魔法しか使えない自分にとって
ゲームを攻略する事ができなくても、自分がそのお手伝いができるのなら――
自分の代わりに“攻略”という夢を叶えて幸せになって欲しいから、そんな思いを
抱きながら。そしていつものように出会った人々に体力を回復する途中――
悲劇は起こった……。 「あなた方にも幸せが訪れますように~……」
月の泉で出会った3人組の男達の最大体力のレベルを上げようとした時の事――

「てめぇさ、この前会った時も、そうやってヘラヘラ笑ってたよな~?」
「男のくせに女みたいだよなーヘラヘラしとって見てて腹立つ」
「なんにも悩みなんて――ないみたいでさ!」
そう言って男は――碧に蹴りを入れた。 「!!!」
「お前みたいなウザい野郎はいても邪魔なだけ!!」 男達は笑いながら――
攻撃魔法の使えない碧に一方的に殴ったり蹴ったり……暴行を加えた。
「やめて下さい……!」 碧は必死で抵抗するも――3人がかりでは敵わない。
「くぅ~やっぱ“この世界”は最高だぁ……! こうやって思いっきり人殴っても
 警察ザタにならないんだしよぉ!!」 「ストレス解消にはもってこいやぁっ!!」
男達の攻撃を受けながら――碧の脳裡に、あるでき事がよぎる……



「後輩のくせに――調子に乗るんじゃねぇ……鬱陶しいんだよ!!」
「先輩より目立とうなんて――許せねぇ!」
「お前さえいなければ……皆楽しくやってけたのに……お前のせいで……!!」
無残に破られた楽譜と罵声を浴びた日々の事――実力で勝ち取ったはずだった。
でもそれを――先輩達が許さなかった。そして現実世界の碧は居場所を失った……


「やっと……別の居場所を見つけられたって思ったのに……
 僕は――この世界でも邪魔で必要のない存在……?」


1日たった1時間であれ碧は――この世界で邪魔者扱いや足手まといにならない、
かつ他人に役に立てるよう必死で自分にできる事をやってきたつもりだった。
他のプレーヤーと仲良く遊びたいと思っても、いつだって一歩引いてきた。
一緒にクエストに行っても攻撃魔法が使えないのなら、足手まといになる。
困っている時だけ現れて役に立てすれば良い。自分が誰かを救えさえすれば
「皆」が幸せなら……。現実世界では自分のせいで皆を不幸にした、
哀しい思い込みがあったからこそ、この世界でも抱いた願いだった――。


「こんな僕が……あの人を救いたいって思った気持ちも……驕りに過ぎ
 なかったのかな……」今までやってきた事の別のきっかけを――思い出す。
人に対する恐怖を乗り越えて、人と普通に話せるようになりたかった……。
初めて姿を見た時と話した時の事を――思い出す。その時は結局、
本当の気持ちを誤魔化して逃げてしまった。変だと思われただろう……
でも――話せて嬉しかった。もう一度――出会いたい……
そして、特にその人には邪魔な存在だと思われたくなかった……


「……コイツ、ヤケに大人しくなったな……って、消えかけてんじゃん!
 弱ぇ~!」「ははっ! 俺達の勝っち~☆」碧に過度の暴力を加える3人の
男達――それをスクリーン越しで見る者が、1人――……


「うっわ~コイツら最悪ムカつく! ストレス発散に超良い子な碧君を――
 最悪のプレイヤーにはお仕置きが必要、だね……さ~て今が“コレ”を
 使う時かな――それに今は――ああ、いたいたレイナちゃんはあっちで
 丁度――これはまさに! 運命的なタイミング♪」
その様子を見ていたのは“創造者”。昂――別の画面で1人の少女の姿を
確認した後、コンピューターのマウスを使い、碧をクリックする……。


「碧君……この“強化データ”で――あいつら、殺しちゃえっ!!」
その瞬間、碧の頭の中で大声が響く――……
「碧、お前は……邪魔なんかじゃない! 碧のおかげで俺様は存在できる
 ようになった……俺様には碧が必要なんだ!」「え……?」
「だから自信持て! それにこんな最低な奴ら、俺様が代わりに殺してやる!」
「!?……誰……?」 碧がそう思った瞬間、体が黒い光に包まれる――


「なんだ? コイツ……」3人組は、たじろいだ。そして――碧の姿は消え、
代わりに現れたのは……鎧を纏った剣士――金色の髪、碧と同じ身長
……だが、身に纏う鎧と血のように紅い鋭い眼は――普段の碧とは全く
異なる姿だった……。豹変した“彼”は3人組を睨みつける――

「てめーら、よくも碧をいじめたな……それで勝ったと思ってんのか?
 調子に乗るな! ザコどもがぁっ……!」「やべぇぜ! コイツ、さっきと
 別人じゃねぇか……まさか“2代目”!? くそっ……やっちまえー!!」
そうして3人組が一斉に剣士を襲った……しかし――
「てめーらみてぇなのが何人かかろうと同じだぁ……!!」
なんと一瞬で3人組を切り刻み、姿が消える――
それは、この世界での“死”を表す――
「ハーッハッハッハッハ!! 血の色……まだまだ足りねぇな……どこだ……?
 獲物はどこだぁ……?」まるで、獣のような眼だった……。


「ちょーっとやりすぎちゃったかな~……このままじゃあ僕以外全滅しちゃう
 かもね~それはまずいけど、いざとなったら僕の力ならいつでも止められるし
 先にレイナちゃん捕まえなきゃだし『彼』にはしばらく碧君の体で楽しんで
 欲しいからなーだからまずは――」そう言って、昂は一瞬であるエリアに移る。

「レーン♪」
とあるフィールドで戦っていた蓮の背後から聞き慣れた声が聞こえる――
「てめぇか…何の用だ?」「ちょっとお・ね・が・い☆ あのねー、前から言ってたと
 思うんだけど、碧君に強化データ入れたら、思ったより凶暴化しちゃってねー
 ちょっとお相手してくれない?」「……例の“2番目”の奴かよ……
 そんなの……てめぇの制御データでなんとでもなるだろ」蓮はあきれて返す。

「まぁそうなんだけど、制御データ絡みでは別に任せたい子がいてねぇ…ちょっと
 その子と話してくる間……君と勝負させてみたい気持ちもあるし――
 強い相手と戦ったら君の経験値も上がるし☆ もちろんっ! やってくれるよね?」
「どうせやらねーと俺のデータ初期化するつもりだろ?」「うんっ♪ もっちろん☆」
その笑顔は黒かった。「まぁいい……このフィールドのモンスターにも 退屈していた
所だ――で、外見は?」「こんな子」そう言って昂は『彼』の外見データを蓮に見せる。

「君と同じ剣士、剣は大きめ。金髪で紅い眼をした少年。性格的には魔王降臨~☆
 って感じっ!……これも前言ったと思うけど――彼は僕が作ったデータの中で
 唯一『心』を持つ。それで何考えるかとか、何しでかすかとかは僕の想像を
 超えてくれると思うし、君の事も惑わしてくると思うから――注意してね☆
 それとそろそろセーブも使った方が良いんじゃないの? 椿ちゃんと初めて
 会った時も使わなかった事――後悔してたくせに、今日も使ってないよね?」
「……セーブを使ったら……これからどれだけの時間が犠牲になると思う……?
 もう二度とあんなヘマはしねぇ……どんな汚い手を使われても……生き残って
 やる……! そして――絶対に俺は……俺の望みを叶えてやる……!」そう言い残し
 蓮は消える――「分かってるよ……君がどれだけ一生懸命、この世界で強く
 なろうとしているか、でも……強くなる事が全てじゃない。それに楽しみながら、
 償って欲しいから――あの子にも言ったように」そう呟き昂も姿を消した――


「アイツは何者なんだ……? ――碧にも少し似てる気がするけど――」
一方、月の泉にいた竜は空から暴走する剣士の様子を見ていた。
「見つかったら、俺も殺されちまうかもな……すげぇ殺気だぜ――
 その前に撤退するか……でももうすぐ――」竜はこの日、この場所で
桃と決着をつける約束をしていた。だから動く訳にはいかない。
彼女がここに来た時、巻き込まれる可能性もある――と心配だったのだ。


と、その時――「変態アラビア男ー! さっさと降りてバトルするわよー!!
椿と共にこのフィールドにやって来た、桃の大きな声が聞こえた。
「バカっ! 今叫んだりしたらアイツが――」
「女の声だぁ……獲物見つけたぁ!!血の色見せろぉ!!」「なっ……!?」 
豹変した碧は、いきなり姿を現し、桃に向かって切りかかる――!!

「桃ちゃんっ!?」 椿が叫んだ瞬間、目の前が、真っ赤になる――
それは、血の色……だがそれは、桃の物ではなかった――
「う……そ……」それは、竜の血だった。桃の体を、正面から抱くように
助けた竜は――背中に酷い傷を負った――「っ……くそっ……痛ぇ……」
そして竜は倒れてしまった……。

「嘘っ……どうして……? しっかりしなさいよ! 竜っ! 竜!?」 
桃は自分の為に命を捨てた竜を見て――酷く混乱していた……
「次はお前ら二人だぁっ!!」 そして再度二人を襲う――
「……させないっ……!!」――椿がバリアを張り、間一髪助かった。
しかし――「こんなものっ……すぐに壊してやる……!」「くっ……」
壊されるのも、時間の問題――「……っ……!?」
そして――ついにバリアは……壊れてしまった。「くらえーっ!!」
碧が剣を振り上げ、椿を切りつけようとする――!!

「きゃあっ!!」 もうダメ――!! 
そう思った瞬間、剣の鈍い音が聞こえた――
「え……?」
恐る恐る目を開けると――椿の目の前には揺れる銀髪、水色のマント……
「蓮……さん……」会う事を夢に見ていた、蓮の姿があった。


「くっ……!? お前は……」予想外の相手に剣士も驚く――……
「お前の相手は俺だ――……」蓮はそう告げ、刃を交える。
その後は椿達とは言葉も交わす事なく、蓮と剣士は場所を移動しつつ戦い、
椿の目の前から消えていく――どうやら蓮は場所を替えてくれたようだった。

「蓮……さん……」椿は戸惑いながらも竜の元へ急いだ。駆けつけると――
そこには、涙を流しながら、震える体で必死に回復魔法を使う桃の姿――
「お願い……椿ちゃんも手伝って……!! ……竜を――助けてっ……!!」
「……うんっ!! わかった……!!」現実の姿である、雷音の泣き顔も
見た事がなかった椿は驚きながら手を貸す……

早速治療を始めるも、気になる事があった――桃の、そこまでして竜を
助けたい気持ち……桃は竜の事を嫌っていた上、この世界ではいくらでも
やり直しができる……必死になって助けたいという理由は一体――
「……コイツは、一度死んだら終わりなの」……と、そこで桃は口を開いた。

「えっ? セーブは?」「椿ちゃんには薦めたくなかったから言わなかったけど
 ――セーブを使わない方が何十倍もレベルが上がりやすいの……
 その代わり、一度死んだら経験値は0になる……リスクは高い……」
「じゃあまさか竜さんは――」「竜、前に言ってたの……
 『セーブを使わないのが俺の主義だ、その方が必死になってプレイ
 できて楽しいから。現実と同じで後悔しないように頑張れるから』って
 笑って――バカじゃないの? 1回死んだら初期化しちゃうのに……
 頑張って育ててきたものが――全てなくなるのにっ……!」
「それじゃあ始めから倒すつもりは……?」「ちょっと懲らしめて
 やろうと思ってただけ――完全に倒すつもりもなかった……!
 まさかコイツに自分が庇われるなんて――」桃はまだ、混乱しているようだった。
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コメント

セーブなし つまり 1度死ぬとゲームオーバー
このルールですと経験地が何十倍にもなる

たしかに私がこのバトキャラをするならば セーブなしでやっちゃうかもですね
これがオンラインゲームの類であれば
@v@「やーいざまみろーww」
0v0「じくしょーやりなおしだー、レベル上げ手伝えおい」
で終わるんですけど

電子的なものではなく、いうなればSAOみたいなゲームだから
感情移入も深くしてしまうものなのかも

  • 2015/12/19(土) 14:58:55 |
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  • じょるの #-
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