五月雨日記<仮の宿>

イラスト+漫画やアニメの感想等。 最近はプリキュアと東方多めです。

chapterⅠ-Ⅱ encounter -遭遇-


「なっ……ここ……どこっ……!? もっ……森~っ!?」
光が晴れると――二人の前には、緑豊かな森が広がっていた。

「らっ……じゃなくて、桃ちゃんっ!? 一体何が起こってるの!?」
「バトキャラ専用エリアに入ったの♪ 行きたいエリアを心で思うと
 簡単に転送されるんだよっ! ここは『平和の森』……
 じゃあその辺にいるモンスター、適当に攻撃ね。そしたらレベル上がるから☆」
「えっと……これもモンスター!?」

椿の目の前に現れたのは……人型だった。けれど大きさは……30cm位、2頭身。
しかも敵意を全く感じず、幸せそうな目をして舞っていた。

「そーだよ。ほら、魔法使って!!」
「これ……本当に敵……!? なんか倒すの可哀想だって!
 あんな人畜無害のモンスター!!」
「でも、レベル上げたいんなら仕方ないのっ!
 初心者にはこの“平和の森”で“ヒトモドキ”倒すのが一番なのっ!」

平和の森――その名に相応しく……周りには大量の“ヒトモドキ”……

「なんでこんなに大量に~っ!?」
「どっかのアホ召喚師が失敗して呼びまくったんだよな~?」

そこで口を開いたのは……桃ではなかった。
見上げると木の上に1人の少年の姿――
赤茶色の髪、ベージュのターバンのような物を巻き、どこかの民族衣装のような服を
身に纏っていた。二つの大きな赤色のつり目に、額にはもう一つ――青紫色の瞳。

「あ~っ!! スケベ変態最低男ぉっ!! ここで会ったが100年目ぇ~!!
 この恨み晴らさでおくべきかぁぁっ! 出でよっ! 原子団! 助次郎~っ!」

雷音……いや、桃の目は――完全に戦士の目だった……。
「……この人がさっき言ってた人……?」
椿は先程、雷音が零した愚痴を思い出した……。

「……何回目だよ、そのセリフ……何日か前にも会ったばっかだろ……
 じゃあ……こっちも反撃開始ぃ!!」
その少年は持っていた笛をかまえ、魔法を使おうとする様子……。

「わっ私はどうしたら~!??」 そう慌てる椿に対し、桃は――
「椿ちゃんは邪魔しないで! これは私の戦いなのっ!
 すぐ決着つけるから……その辺で待ってて!!」
……とは言ったものの、なかなか決着はつきそうになかった。



「だっ……大丈夫かな、桃ちゃん……」
その辺で待つ……というか避難していると――椿に近付く、一つの影……

「貴方は“神”を信じますか?」
「……へ?」

そう尋ねられ、振り返ると――微笑みを絶やさぬ僧侶の少年がいた……。
金髪のショートカットに、透き通るような碧い瞳――
何を言ってるんだろう……僧侶だから……? そう思って返事を躊躇っていると――

「信じていても、信じていなくても――貴方に幸せが……訪れますように――」
「わっ……」
白い光が椿を包む――とても温かく、心地良い感じがした――

「最大体力のレベル、少し上げておきました~」
僧侶の少年は、にっこり笑ってそう言った。
「あっ……ありがとうございます……」
良い人だなぁ……椿は驚きはしたが、そう思った。

「どういたしまして……
 ところで、竜君と桃さんのバトルは――始まったばかりですか?」
「はいっ……あ……もしかして桃ちゃん達の事――」
「はい、存じてます~!! 仲良くさせて頂いてますよ」
「――止めなくて大丈夫なんですか?」
戦いの真っ最中である桃と竜の様子を、椿は心配そうに伺う――

「大丈夫ですよ、お二人共バトルを楽しんでいらっしゃいますから」
「……楽しんで……?」
「……お二人のお体が心配なんですか?」
「はい……もちろん――」
「心配なさらなくても、大怪我になる事はまずないですし……
 それに――竜君は桃さんと戦っている時が、1番楽しそうですから」
僧侶の少年は、笑顔で断言した。

「……そうなんですか?」
「はいっ……!! だからお邪魔はできません。
 今日は少しタイミングが悪かったですね……
 そろそろ行かないと――それでは、この辺で失礼させて頂きます~」
「あっ……本当にありがとうございました……!」
そう言って椿は深々とお辞儀する――

……いえ、僕はこんな形でしか、誰かのお役に立てないので……
「え……?」 「何でもないですっ……それでは~」
僧侶は去っていき、一人残された椿はどうすべきか迷っていた……。




「桃ちゃんはバトル中だし……そうだ! 魔法の練習!!
 ヒトモドキさんには当たらないようにして――」
そう思い立ち、とりあえず自主練開始……だが……

「……どうやったら攻撃……できるんだろ……??
 ……っていうか、そもそもできるの~!!?」

そう……椿はこの間蓮を助けた時、攻撃魔法は一切使用していない。
できたのは、防御カウンターと回復……というか……
「回復魔法も、どうやって使うんだっけ……??」

この間いきなり使えた事が、奇跡だったのかもしれない……
そう思った時……目の前のヒトモドキが転んでしまった。
2頭身とはいえ、膝の辺りから血が出て……涙を流していた。

「あの……ちょっと待って下さい……!!」
椿はヒトモドキの膝の辺りに手をかざし、念じる――
「どうか……治って……!!」
その瞬間、一瞬でヒトモドキの膝の血が止まり、傷が塞がったのだった――

「良かった……! 回復魔法……使えた……!!」
喜ぶ椿に、ヒトモドキも嬉しそうな様子――そして、
「ありがとうございます……!! お礼に僕の“舞い”を見て下さい……!」
そう言ってヒトモドキは幸せそうに舞い始めた――

「ふふっ……こんな子、とても倒す気にはなれないよ……なんか癒されるなぁ」
――と椿が思った瞬間の事――





 ブシュッ……





「……え……??」

椿の目の前で飛び散る、真っ赤な血――
先程助けたヒトモドキが一瞬でバラバラになり、消えてしまった……

「何ぼーっとしてるの? お姉さん??」

椿の前に突然現れたのは……10~12才くらいの小さな男の子……足首まで
ありそうな紺色の髪を後ろで一括りにした、チャイナ服を身に纏う槍使いの少年。
ヒトモドキを刺した時の表情は……
同年代の子供が見せる事のない、残酷なものだった――

「こいつら、モンスターはね、僕達が『殺す』為にあるんだよ?
 なのに……何してるの?」
「でもっ……酷いっ……!!
 敵だとしてもこの子はさっき……私にお礼を……!!」
「……何言ってるの? こいつらに『心』なんてない……
 さっきのも、プログラムされたデータだったからやったこ……」
「許さない……!!」

その瞬間、椿の手から――巨大な光が放たれ、槍使いの少年目掛けて
襲いかかる――!! 強大な爆発音が、森中に響いた――





「なんだっ!? 今のすげー音っ!?」
その音はもちろん、戦闘中の二人にも届いていた――
「あっちは……まさか椿ちゃん!?」 桃は音が聞こえた方向へと走り出す――

「ちょっと待て!? 俺も――」
「アンタ体消えかかってるじゃない! そろそろ時間切れなんでしょ!?
 とにかくっ……勝負はまた今度!」
「……くそっ……1時間経ったのか……とにかく、大丈夫だと良いけど…… 
 それにしても……さっきの……「椿」……? ――まさか……ひ……いや
 ……それはねぇよな……“俺”も1番……よく分かってる事だし、な……」

そう呟いて、竜は消えてしまった――





「なんだ~できるじゃん、攻撃。僕じゃなかったら死んでたかも♪」
槍使いの少年は……傷一つ受ける事なく笑っていた――

「……それはそうと、君は――どうして此処にきたの?」
「えっ……!?」
「モンスターも殺せないくせに、レベル上げようとしてるんだ?」
「それはっ……」

椿は――蓮に会いたくて此処にきた。でも……自分が助けた
ヒトモドキを殺したプレイヤーに……その事を言いたくはなかった。

「……やったぁ♪ 蓮に会いたいから、かぁ☆」
「……!!?」

言葉には――出していないはずだった。
でも――椿の心を読むように、その少年は満面の笑みを浮かべる……

「まあ今日は確認と挨拶に来ただけだし、君の事が分かって良かったよ♪
 それに――蓮が君に魔力渡したのも納得した……でも……
 憧れの気持ちだけじゃあ――蓮のパートナーには……なれないよ……」

槍使いの少年は一瞬のうちに椿の元に近付いて……そう耳元で囁いた――
「……っ……!?」
疑問に思った事を問い質す前に……少年は消えていた――




「大丈夫!? 椿ちゃん!!」 茫然とする椿の元に……桃が駆け付ける。
「うん……平気――桃ちゃん勝負終わったの?」
「勝負は……つかなかった。
 それより……椿ちゃんが無事で良かった……大丈夫だった?」
「ありがと……でも……勝負良かったの?」
安堵の表情を浮かべる桃に、椿は申し訳なさそうに尋ねる――

「どうせあいつが時間切れになったからね……にしてもさっきの――」
「私が……やっちゃった……」
「えぇぇ!!?」
「他……プレイヤーさんだったのかなぁ……??
 小さい……蓮さんと似たデザインの、槍使いの子だったけど……」

同じ位の長さの髪に、同じ髪型……つり目とチャイナ服――
さっき出会った少年の姿を思い出す……。

「蓮と似たデザイン、ねぇ……にしても、椿ちゃんが
 あんなすごい攻撃するなんて……その子に何かされたの……?」
「私が助けたヒトモドキさん、目の前で殺されちゃって……つい……いくら
 データでも……心がなくても――なんか、哀しくなって……気が付いたら……」
「そっか……だからあんなに強い……その子一発KOだったんじゃ……」
「ううん、避けられちゃった……」
「強いRPGキャラだったんだね……椿ちゃんは、全く攻撃されなかったの?」
「うん……でも――」

『憧れの気持ちだけじゃあ――蓮のパートナーには……なれないよ……』

その言葉が――椿の心に引っ掛かっていた――……





一方その頃……槍使いの少年は、とても広い空間、辺り一面に全ての
バトルフィールドが映し出されたスクリーンのある部屋で座っていた――
そこに、人影が現れる……。

「何の用だ、創造者?」 それは蓮だった――
「もぉ~蓮! こっちの世界では、“コウ”!
 “昂”って呼んでって言ってるでしょー!?」

振り返った小さな少年は――椅子から飛び降り、蓮に駆け寄り……抱きついた。
「離せ! 誰が呼ぶかっ!!」 蓮は怒りながら振り切る……

「やっぱりぃ~? 呼ばないってゆーか、呼べないよね~まぁ別に良いけど。
 さっきねー昨日君がチュー☆ した相手に会ってきたんだぁ♪」
「……! あの女か……それにしても――
 何故RPG化しても姿が変わらなかったんだ?
 ……RPGキャラが現実世界と全く一緒の姿なんて……おかしすぎる」
「確かにそう思うよねぇ……君も僕も変身しないと
 こんなに髪も伸びないし――君はこの長い銀髪がお気に召さないようだけど
 僕は大好きだよ♪ 僕とお揃いの長さの――“蓮”を構成する大切なエレメント」

そう言って昂は――蓮の束ねた長い髪に軽くキスをする。

「……何してる!? はぐらかすな!!」
「はいはい、じゃあ教えてあげる……
 あの時、あの姿のままで、ああされないと意味がなかったからさ」
「……どういう意味だ?」
「……考えてみたら? 今後同じような事があっても――
 椿ちゃんはあの姿のままだからこそ、そうされて嬉しいって思うに違いないし」
「……?」

蓮は――昂の言葉の意味が、分からない様子――

「それにしても――椿ちゃんは相変わらず優しい子だったよ……
 今日なんて――ヒトモドキ助けてたし。
 僕が目の前で殺しちゃったけどね、バラバラグログロヒトモドキ~♪」
「……何の為に?」
「怒らせてみたかったからさ……君と違ってなかなか怒ってくれそうになかったしね」
「……無駄な殺しを」
「……椿ちゃんに対する気遣い? ……優しいねぇ……
 ゲームだからって割り切ってるけど……君も本当は苦手だもんね、血」
「……っ……!!」

そう指摘され、蓮は表情を変える――

「まぁそれで……その後『覗いて』分かった事だけど
 椿ちゃんは君の事が好きでこの世界に入ったみたいだよ~☆」
「すっ……!? ちょっと待て……まさか――あれだけの事で!?」

ストレートな昂の言葉に、蓮は思わず赤面する。

「……どういう意味かは、想像に任せるけどね」
「――……そういう意味、か」 「……一瞬期待して損した?」
「してねぇよ!!」 「本当かなぁ~……??」

昂は意地悪そうに蓮を見つめる。

「……っ……そういう意味だとしても……
 俺に少しでも好意を持ったとしたら――よっぽど“飢えた”人間という事か」
「まぁね……君のおかげで“呪い”の一部も解けたようなものさ」
「……呪い……?」
「まぁここは椿ちゃんのトラウマとかプライバシーに関わる問題だから
 今の君には教えない……でも1つだけ、教えてあげる……
 彼女は――君が1番憎んでいる『あのお姫様』に嫉妬した事がある」
「……!?」

『あのお姫様』……その言葉に――蓮の表情が一瞬止まる。

「それもまた――運命だと思って選んだ子さ……『あのお姫様』とは真逆かな。
 椿ちゃんを、お姫様に例えたら……白雪姫かなぁ。
 “君”がどんな人間で、どんな過去を持っているか……犯した罪の
 大きさも知らないで――“蓮”を好きになった危うさがある所とかね」
「……だったら……簡単な事だ……次に会った時――
 理想化なんてぶっ潰して……“現実”を見せつけてやる……!」
「……好きにすれば良いよ、その部分を隠した所で……
 “蓮”だけ好きな所で、意味ない事だし――
 君が“どこまで”見せつけてくれるのか……楽しみにしてる♪」
「……どういう意味だ?」 「……そういう意味だよ」

意味ありげに、昂は笑う――

「さぁて今から……魔力の譲渡のシーン、大画面で再生しちゃおっかな~♪」
「……これ以上付き合ってらんねぇ……!! クエスト行ってくる!!」
「……待ってよ、蓮……1つ、予言させて」

照れながら怒る蓮を――昂は引き留める。

「……いつか君は――感謝する事になる……白雪姫が毒林檎を食べた運命に。
 ……そして今までお姫様の前に――別の王子が現れなかった運命に」
「……くだらねぇ」

それから――蓮は姿を消し、昂はバトルフィールドが映し出された
画面に視線を戻す。そのうちの1つの画面を見つめる――
そこには、椿が先程接した僧侶の姿があった。

「――相変わらず頑張ってるなぁ、碧(あおい)君……そろそろ“強化データ”
 あげる頃かな……う~んでも……何か面白い事が起こった時に
 しーよぉ~と☆ その方がドラマ性あるし、僕って役者♪」

楽しそうな笑顔を浮かべる――全てに影のある……笑いだった。

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コメント

うふふっ

とっても初々しい?
激しい?お二人なんだか
微笑ましいのです。
コレ色んなコトいっぱい
ありそうですけど
みんな頑張ってー。
風月先生お手柔らかに
お願いいたします。

  • 2018/01/25(木) 11:42:38 |
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  • TYPE MM04 #LkZag.iM
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